『名探偵コナン 隻眼の残像』で話題となっている“スタングレネード”。あのシーンを観て、「えっ、今のって実在する道具なの?」「コナンにしてはリアルすぎない?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。
今回の映画では、公安の降谷零(安室透)が使用したと思われるスタングレネードが、事件の核心に迫るシーンで重要な役割を果たします。コナンシリーズはこれまでも秘密道具やスパイアイテムなどを活用してきましたが、ここまでリアルな軍事・警察アイテムが正面から描かれたのはかなり珍しいことです。
まずは、映画内での使用シーンについて簡単に説明しましょう。ある重要人物の身柄を確保するために、暗所での強襲作戦が展開されます。その中で使用されたのがスタングレネード。強烈な閃光と音響によって相手の視覚と聴覚を一時的に奪い、無力化させる非致死性の兵器です。爆風や殺傷能力は持たないものの、現実の警察や軍で実際に使われている正真正銘の“本物”のアイテムなんですよ。
映画では、それがまるで当たり前のように描かれており、観ているこちらとしては「え?スタングレネード??」と二度見してしまった人もいたはず。実際、X(旧Twitter)などのSNS上では「公安怖すぎ」「これ子供向け映画だよね?」「フラッシュバンがリアルすぎる」といった反応が多数寄せられていました。
スタングレネード、正式名称「閃光音響手榴弾(フラッシュバン)」は、映画やゲームでおなじみの装備。近年ではFPSゲームや海外アクション映画などにもよく登場しますが、まさかコナンで見られる日が来るとは思いませんでしたよね。
では、このスタングレネードって一体何なのか?ちょっと掘り下げていきましょう。
まず、構造としては内部に特殊な火薬が詰められており、ピンを抜くと2秒ほどの遅延の後に爆発。大音量(約170~180デシベル)と、閃光(約700万カンデラ)を同時に放出することで、視覚と聴覚を一時的に麻痺させることが可能になります。通常、相手は数秒間何も見えず、耳鳴りで身動きが取れなくなるそうです。
これが実際の戦場や突入作戦などで活用されていて、目的は「殺さずに制圧すること」。犯人の命を奪わずに安全に取り押さえるため、特に人質事件やテロ対策などで使用されます。
日本の警察が使うかというと、一般の警察官が使用することはまずありません。が、特殊部隊であるSAT(特殊急襲部隊)やSIT(特殊捜査班)などが使用することはあるとされています。つまり、公安である降谷零が使用するという設定は、リアリティとしては全くの“アリ”ということですね。
ちなみにこのアイテム、名前からして危険そうですが、あくまでも「非殺傷兵器」として分類されています。ただし、至近距離や閉鎖空間での使用にはリスクがあるため、実際には訓練を受けたプロしか使えません。作中での描写でも、降谷零が極めて的確に使用しており、そのスキルの高さが際立っていました。
『名探偵コナン』シリーズはこれまでも“道具のリアリティ”を追求してきた作品ではありますが、今回は「子供向け」を超えた、かなり大人向けの展開だと話題になっています。最近の劇場版では、公安や警察組織の裏側、闇の部分も描かれることが増えており、その一環としてスタングレネードのようなリアル装備が登場したと考えると、非常に納得がいきます。
とはいえ、子供向け作品でスタングレネードってどうなの?という声も一定数あります。確かに、戦闘アイテムとしてのインパクトが強すぎるため、観る人によっては刺激が強いと感じるかもしれません。でも、現実の装備がストーリーの中でしっかりと意味を持って使われている点は、むしろ作品の深みを増しているとも言えるでしょう。
映画『隻眼の残像』では、単に派手なアクションを見せるためではなく、「誰も傷つけない方法で正義を成す」という、公安という存在の信念を象徴する道具としてスタングレネードが登場しています。その使い方が非常に的確で、むしろ感心してしまうレベルでした。
このような“本物の道具”をアニメの世界に持ち込むことで、観客の没入感を高めると同時に、現実世界への関心を引き出す。最近のコナン映画の特徴として、リアルとフィクションの境界線を巧みに描く傾向があり、今回のスタングレネードの登場もその延長線上にあるのかもしれません。
また、この道具の登場により、「公安とは何か」「任務とは何か」「正義とは何か」といった、深いテーマにも観客が触れることができたのではないでしょうか。
正直なところ、私は映画館でこのシーンを見たときに、「まさかスタングレネードが来るとは!」と笑ってしまいました。でも、その後の展開で、ただのおふざけではなく、真剣な意図をもって使われていたと分かった瞬間、一気に鳥肌が立ちました。
まさに「隻眼の残像」というタイトルのごとく、見る者の記憶に残る強烈なインパクトを放った道具。登場時間は短くとも、その存在感は抜群でした。
このように、『名探偵コナン 隻眼の残像』は、これまでのファン層に向けてはもちろん、ミリタリーや公安描写に興味のある層にも訴求力を持った作品になっており、その代表例がスタングレネードだったと言えるでしょう。
今後の劇場版でも、こういったリアルな装備や描写が増えていく可能性は高いです。もしかしたら次はスモークグレネード?それとも小型ドローン?妄想が止まりませんね。
スタングレネードの登場は、ただの派手な演出ではなく、コナンという作品がさらに“社会派”へと歩を進めている象徴的な出来事だったのかもしれません。
まとめ
『名探偵コナン 隻眼の残像』で登場したスタングレネードは、公安のリアルな戦術を描く中で印象的に使われた非致死性兵器です。
閃光と音で相手を無力化するこの装備は、実際の警察や軍でも使用されており、その登場によってコナン映画がより大人向け・社会派へと進化していることが感じられます。
現実とのリンクを強く意識した演出に、驚きや賛否が巻き起こるのも当然。
今後の劇場版でも、こうしたリアリティあるガジェットの登場に注目です。